知られざる
EPAのパワー

目に潤いを与える!ドライアイにEPA

EPAは、多彩な生理機能を有しています。

その多くは血管や内臓、脳神経で発揮されるものですが、近年は眼科領域でEPAやDHAの機能研究が盛んに行われています。中でも新しいものはEPAのドライアイに対する有効性の研究です。

1ドライアイの自己診断方法

では、自分がドライアイかどうかはどうやって診断するのでしょうか?

ドライアイの自己診断法として10秒間瞬きをせずに眼を開けていられるかテストする方法が知られています。

10秒間瞬きを我慢できない場合、ドライアイが疑われます。

2ドライアイと魚の摂取(疫学研究)

ドライアイは、摂取する栄養素によって影響を受けるという結果を発表した論文があります。【Am J Clin Nutr 82:887-93(2005)】

その論文では、3万9,876名の女性を対象者として過去4年間で医療機関においてドライアイと診断されたことがあるかどうかの質問を行い、食事調査から算定される脂肪酸摂取量との関係を解析しています。

全対象者の1日当...続きを読むたりのEPAやDHAを含むn-3系脂肪酸の摂取量を少ない方から多い方へ段階的に五つのグループに分け、各グループのドライアイ発症の状態を解析したところ、n-3系脂肪酸の摂取量とドライアイの発症のオッズは有意に逆相関することがわかりました。

すなわち、n-3系脂肪酸を最も多く摂取しているグループ(1.99g以上/week)は、最も少ない摂取のグループ(0.92g以下/week)のドライアイ発症のオッズ比を1としたとき、有意に低い0.83(P=0.04)という結果でした。

食事から摂取するn-6/n-3比とドライアイ発症率
Ratio of n-6 to n-3 fatty acid intake
出典:Miljanović B et al. Am J Clin Nutr 82:887-93(2005)

また卵や畜肉、植物性油脂などに多く含まれるn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸の摂取量の比(n-6/n-3比)とドライアイ発症の関係を調べた結果、図に示したように、n-6/n-3比が15以上の群は4以下の群の2.5倍のオッズ比であることがわかり、n-6とn-3のバランスがドライアイ発症にもかかわっていることが推定されました。

またこの論文では、食事摂取の中でもツナ...続きを読む缶、ツナ以外の赤身の魚、白身の魚、その他の魚介類の1週間の摂取頻度とドライアイ発症の関係についても解析しています。

その結果、ツナ缶摂取量とドライアイ発症は逆相関し、週2~4回(1回の摂取は113g:4oz)ツナを摂取する群は、1回以下の群に対し19%のオッズ比の低下、5回以上摂取する群では68%の低下という結果を報告しています。

このように、食事から摂取されるn-3系脂肪酸が多いほど、ドライアイを発症しにくくなることが疫学研究によって示されています。